パプアニューギニアは、世界でも屈指の極楽鳥(フウチョウ)の観察地です。
今回WildHerpingでは、極楽鳥をはじめとするパプアニューギニア固有の野鳥を求めて、パプアニューギニア・バードエクスペディションを開催しました。
高地の雲霧林から低地の熱帯雨林まで、標高も環境も異なるさまざまなフィールドを巡りながら野鳥を探索。中でも今回の大きな目的となったのが、ニューギニアを象徴する極楽鳥(Bird-of-Paradise)とニワシドリ(Bowerbird)の仲間たちです。
長く伸びた飾り羽、光の角度によって色を変える構造色、そして「本当に鳥なのか?」と思ってしまうほど奇妙な求愛ディスプレイ。
第一弾では、今回のツアーで実際に出会った極楽鳥とニワシドリの仲間をご紹介します。

シロジクオナガフウチョウ
Stephanie’s Astrapia|Astrapia stephaniae
長い尾羽と、顔の周囲に輝く美しい構造色が特徴的な極楽鳥です。
黒を基調とした体に青緑色の構造色が輝き、長い尾羽と相まって非常に優雅な姿をしています。プリンセスステファニーの髪の毛の用に美しい尾羽からこのような名前で呼ばれるそう。
パプアニューギニアの高地を代表する極楽鳥のひとつです。

Stephanie’s Astrapia|Astrapia stephaniae

オジロオナガフウチョウ
Ribbon-tailed Astrapia|Astrapia mayeri
英名の通り、リボンのように白く長く伸びた尾羽が最大の特徴。
オスの尾羽は体長をはるかに上回るほど長く、森の中を飛ぶ姿は印象的です。
顔の周辺に見られる丸い飾り羽も魅力的で、今回ぜひ観察したかった高地性の極楽鳥のひとつでした。

Ribbon-tailed Astrapia|Astrapia mayeri

フキナガシフウチョウ
King of Saxony Bird-of-Paradise|Pteridophora alberti
頭部から伸びる2本の非常に長い飾り羽が特徴的な極楽鳥です。
その独特な姿だけでなく、鳴き声も特徴的。
今回のツアーでも、森の中でまず声を頼りに居場所を探し、その姿を観察することができました。
写真で見ても十分に奇妙な鳥ですが、実際にニューギニアの森で長い飾り羽を動かす姿、鳴いた時に見せる口の中の色を見ると、その異様な進化をより強く実感できます。

King of Saxony Bird-of-Paradise|Pteridophora alberti

チャイロカマハシフウチョウ
Brown Sicklebill|Epimachus meyeri
長く湾曲した嘴と尾羽を持つ大型の極楽鳥です。
森の中に響き渡る大きな鳴き声も特徴のひとつで、姿が見えなくても遠くから存在を感じることができます。
今回は運良くディスプレイする姿まで観察することができました。
普段の姿から大きく印象を変える美しいディスプレイは、今回のパプアニューギニアツアーでも特に印象的な瞬間のひとつでした。

Brown Sicklebill|Epimachus meyeri

クロカマハシフウチョウ
Black Sicklebill|Epimachus fastosus
チャイロカマハシフウチョウと同じく、長く湾曲した嘴を持つ大型の極楽鳥です。
チャイロカマハシフウチョウとは顔周辺の模様や生息環境などに違いがあります。今回のツアーではメスを観察することができました。

Black Sicklebill|Epimachus fastosus
アオフウチョウ
Blue Bird-of-Paradise|Paradisaea rudolphi
パプアニューギニアを代表する美しい極楽鳥のひとつ。
オスが枝から逆さまにぶら下がり、美しい飾り羽を広げながらメスへ求愛する、非常に特徴的なディスプレイで知られています。
今回のツアーでは本種を求めて数日間。しかし、実際に姿を見ることができたのはわずかな時間だけでした。
簡単には姿を見せてくれないからこそ、森の中に美しい青色の姿が現れた瞬間の感動は格別です。

Blue Bird-of-Paradise|Paradisaea rudolphi
アカカザリフウチョウ
Raggiana Bird-of-Paradise|Paradisaea raggiana
パプアニューギニアの国鳥であり、国旗にもその姿が描かれている、この国を象徴する極楽鳥です。
パプアニューギニア固有種で、オスは長く美しい飾り羽を持ちます。
今回のツアーでは早朝と夕方にレックを訪れ、複数の個体を観察することができました。
「パプアニューギニアに来た」と実感させてくれる特別な鳥です。

Raggiana Bird-of-Paradise|Paradisaea raggiana

コフウチョウ
Lesser Bird-of-Paradise|Paradisaea minor
長く美しい飾り羽を持つ、まさに極楽鳥らしい姿をした種類です。
今回は斜面に生えた木へやって来てくれたため、通常は樹冠で観察することの多い本種を、ほぼアイレベルで観察することに成功しました。
飾り羽をじっくり観察することができ、素晴らしい条件での出会いとなりました。

Lesser Bird-of-Paradise|Paradisaea minor

タンビカンサシフウチョウ
Lawes’s parotia|Parotia lawesii
雲霧林の谷間にあるディスプレイ場所で観察。気温は日中でも14度ほどで非常に寒い印象です。
雨の後は、何度も踊り場にやってきて落ち葉などを掃除する姿が印象的です。美しい喉の羽を目立たせるため、体の形を大きく変えて行う特徴的なダンスも観察することができました。

lowe’s parotia|Parotia lawesii

ジュウニセンフウチョウ
Twelve-wired Bird-of-Paradise|Seleucidis melanoleucus
オスの脇腹から伸びる、針金のような12本の飾り羽が名前の由来となった極楽鳥です。
非常に高い木の枝などでディスプレイするため、今回は観察のために作られた櫓に上がって待機しました。
現れたのは若いオスだったため「12線」や本格的なディスプレイを見ることはできませんでしたが、非常に良い条件でその姿を観察することができました。

Twelve-wired Bird-of-Paradise|Seleucidis melanoleucus

ヒヨクドリ
King Bird-of-Paradise|Cicinnurus regius
極楽鳥の仲間では小型ですが、鮮やかな赤と白の体色を持つ美しい種類です。
英名は「King Bird-of-Paradise」。
小さな体に極楽鳥の魅力を凝縮したような姿で、深い緑の森の中では鮮やかな赤色がひときわ目立ちます。

King Bird-of-Paradise|Cicinnurus regius
ヒガシコフウチョウ/ウナリウロコフウチョウ
Growling Riflebird|Ptiloris intercedens
一見すると黒っぽい鳥ですが、光が当たることで美しい光沢が現れる極楽鳥の仲間です。
今回観察した森は、なんと首都ポートモレスビーの中心部から車で1時間ほどの場所。
大都市からそれほど離れていない場所にも、こうした貴重な野生動物が暮らす自然が残されていることは、パプアニューギニアの大きな魅力です。

Growling Riflebird|Ptiloris intercedens
フトオオナガフウチョウ
Splendid Astrapia|Astrapia splendidissima
オスは美しい構造色と長い尾を持つ、高地性の極楽鳥です。
今回は標高を上げた雲霧林で探索し、メスを観察することができました。
霧に包まれた高地の森を歩きながら極楽鳥を探す時間そのものが、パプアニューギニアでのバードウォッチングの醍醐味です。

Splendid Astrapia|Astrapia splendidissima

カタカケフウチョウ
Greater Lophorina|Lophorina superba
求愛時に体の形を大きく変化させる、ユニークなディスプレイで知られる極楽鳥です。
黒い体に鮮やかな構造色の羽を持ち、ディスプレイ時には普段とはまるで別の生き物のような姿になります。
カタカケフウチョウの仲間は分類の見直しが進んでおり、ニューギニア島の地域によって異なる種に分けられています。
西パプアで見られる仲間とはディスプレイの形にも違いがあり、地域による進化の違いを比較するのも非常に興味深いポイントです。

Greater Lophorina|Lophorina superba
タンビキズノフウチョウ
Short-tailed Paradigalla|Paradigalla brevicauda
一見すると真っ黒で地味な鳥に見えますが、よく観察すると顔周辺に黄色と青色の美しい部分を持つ、非常に特徴的な極楽鳥です。
黒い羽とのコントラストによって鮮やかな色彩がより際立ち、近くで観察すると印象が大きく変わります。

Short-tailed Paradigalla|Paradigalla brevicauda
オオフウチョウ
Greater Bird-of-Paradise|Paradisaea apoda
長く美しい飾り羽を持つ、まさに「極楽鳥」という名前を体現したような姿の鳥です。
オスが飾り羽を大きく上へ持ち上げながら行う求愛ディスプレイは非常に華やか。
鳴き声も大きく、ジャングルの中でも存在感のある種類です。

Greater Bird-of-Paradise|Paradisaea apoda
アオムネカラスフウチョウ
Crinkle-collared Manucode|Manucodia chalybatus
一見すると全身が黒く見えますが、光が当たると青や緑を帯びた美しい構造色が現れます。
長い飾り羽を持つ極楽鳥とはまったく異なる姿ですが、光の角度によって印象が大きく変化する非常に美しい鳥です。

Crinkle-collared Manucode|Manucodia chalybatus
ナキカラスフウチョウ
Trumpet Manucode|Phonygammus keraudrenii
頭の上にある、まるで「寝癖」のように見える羽毛が特徴的な極楽鳥の仲間です。
派手な飾り羽を持つ種類とは異なりますが、独特な姿と鳴き声を持ち、極楽鳥というグループの多様性を感じさせてくれます。

Trumpet Manucode|Phonygammus keraudrenii
東屋を作ってメスを魅了する「ニワシドリ」
極楽鳥と並んで、今回のパプアニューギニアツアーでぜひ観察したかったのがニワシドリ(Bowerbird)の仲間です。
ニワシドリのオスは、メスへの求愛のために「バウアー(東屋)」と呼ばれる構造物を作ることで知られています。
種類によって東屋の形や装飾方法、さらには求愛方法まで異なります。
単に美しい鳥を見るだけではなく、「建築」「装飾」「ダンス」といった複雑な行動を観察できることがニワシドリ最大の魅力です。
オウゴンフウチョウモドキ
Flame Bowerbird|Sericulus aureus
「フウチョウ」という名前が付いていますが、極楽鳥ではなくニワシドリの仲間です。
オスは燃えるような鮮やかなオレンジ色と黄色の羽を持ち、森の中では信じられないほど目立ちます。
立派な東屋を作ってメスにアピールするだけでなく、求愛時には瞳孔の大きさを変化させるという非常に興味深い行動も見せます。
美しい羽、東屋、そして細かな求愛行動まで、ニワシドリの面白さを存分に感じることのできた種類でした。

Flame Bowerbird|Sericulus aureus



キムネニワシドリ
Yellow-breasted Bowerbird|Chlamydera lauterbachi
体の大きさに対して非常に立派な東屋を作るニワシドリです。
東屋の周囲にはさまざまな物を集めて飾り付け、メスへのアピールに利用します。
今回特に印象的だったのは、メスがやって来た際のオスの行動でした。
東屋に集めた色とりどりの「家具」を使いながらアピールする姿を間近で観察することができました。
「なぜこんな複雑な行動が進化したのだろう?」
そんなことを考えながら観察できるのも、ニワシドリの大きな魅力です。

Yellow-breasted Bowerbird|Chlamydera lauterbachi

実際にニューギニアの森で見る極楽鳥
写真や映像でも十分に奇妙で美しく見える極楽鳥ですが、実際にパプアニューギニアの森に入り、その鳴き声を聞きながら探してみると印象はまったく違います。
数時間待っても現れないこともあれば、何日も探してようやく数秒だけ姿を見せてくれることもあります。
標高や植生が変われば、生息する極楽鳥も変わります。
早朝から森に入り、声を聞き、時には長時間待ちながら、その場所に生息する一種を探していく。
だからこそ、深いジャングルの中に突然極楽鳥が姿を現した瞬間の感動は格別です。
今回ご紹介した種類以外にも、パプアニューギニアでは数多くの固有種や魅力的な野鳥を観察することができました。
次回のツアーレポートでは、極楽鳥以外に観察したパプアニューギニアの野鳥たちをご紹介します。
来年度もパプアニューギニア・バードエクスペディションを開催予定!
そしてWildHerpingでは、来年度もパプアニューギニアで極楽鳥を観察するバードエクスペディションを開催予定です。
今回の経験や現地で得た情報を活かし、さらに充実したツアーを目指します。
このツアーで目指すのは、単純に極楽鳥の種類数を増やすことだけではありません。
アカカザリフウチョウ、アオフウチョウ、フキナガシフウチョウ、ジュウニセンフウチョウなど、それぞれまったく異なる姿や生態を持つ極楽鳥たちを、実際の生息環境の中でじっくり観察すること。
そして可能な限り、鳴き声や求愛ディスプレイなど、その鳥ならではの行動を観察することを大切にしています。
また、極楽鳥だけではなく、ニワシドリやパプアニューギニア固有の野鳥なども幅広く探索します。
「いつか野生の極楽鳥を見てみたい」
そんな方にとって、パプアニューギニアは一度は訪れてほしい場所です。
来年度のパプアニューギニア・バードエクスペディションにご興味のある方は、ぜひツアー詳細をご覧ください。
▶ 来年度 パプアニューギニア・極楽鳥バードエクスペディションの詳細はこちら
少人数での開催を予定しているため、参加をご検討の方はお早めにお問い合わせください。

