今回は、4月に実施したフィリピン・バードウォッチングエクスペディションのツアーレポートです。
第一回は、ミンダナオ島北西部にある標高900〜1800mの高原地帯で観察した生き物たちをご紹介します。

まず、今回のツアーのハイライトとなった、世界最大級の猛禽類の一つ、フィリピンワシ(英名:Philippine Eagle、学名:Pithecophaga jefferyi)です。

フィリピンワシは、羽の大きさや体高の高さにおいて世界最大級を誇り、オウギワシ(英名:Harpy Eagle、学名:Harpia harpyja)、カンムリクマタカ(英名:Crowned Eagle、学名:Stephanoaetus coronatus)と並び、「世界三大猛禽類」とも呼ばれています。
ヒヨケザルやサイチョウ、サルの仲間なども捕食することから、「サルクイワシ」とも呼ばれてきました。
フィリピン国内でも、標高の高いごく限られたエリアにのみ生息しており、観察は決して簡単ではありません。

オスメスはつがいになると生涯を共にし、雛の巣立ちまでに1年以上を要します。
そのため繁殖は最大でも2年に1回、1羽のみとされており、一度個体数が減少すると回復が非常に困難です。
また、この大型の猛禽が生きていくためには、十分な獲物を確保できる豊かな森林が不可欠であり、生息できる環境は極めて限られています。
その中でも、実際に観察できる場所はさらに限られます。
今回は特別な許可をいただき、観察可能性の高いエリアを訪れることができたため、観察初日に母親と生後半年ほどの若鳥を観察することができました。
森の中でもひときわ目立つその大きさは圧巻で、
頭部の繊細で美しい羽毛が非常に印象的な鳥でした。

フィリピンは「海洋島」と呼ばれる、大陸と地続きになったことがない島々から成り立っています。
そのため、トラやクマといった大型の肉食獣をはじめとする大陸性の動物が生息していません。
このような環境の中で、生態的地位(ニッチ)を埋める形で、
フィリピンワシのような大型猛禽類が進化したと考えられています。
また、フィリピン最小の猛禽類であるフィリピンヒメハヤブサ(英名:Philippine Pygmy Falconet、学名:Microhierax erythrogenys)も欠かせません。

体長約15cmと小柄ながら、しっかりとした猛禽類の顔つきを持ち、主に昆虫を捕食しています。
今回はセミを捕らえる様子を観察することができました。\
鋭い目つきながらも、どこか愛らしさを感じさせる鳥でした。
その他にも周辺には多くの鳥類が生息しています。
森林生の非常に美しいアオヒゲショウビン(英名:Blue-capped Kingfisher、学名:Actenoides hombroni)

樹上を美しく舞うフィリピンカンムリワシ(英名:Philippine serpent eagle、学名:Spilornis holospilus)

餌のなる木で待ち伏せしやっとの思いで観察したホオアカヒメアオバト(英名:Yellow-breasted Fruit Dove、学名:Ramphiculus occipitalis)

たまたま現場で知り合ったフィリピン人バーダーの方が、17年目にしてやっと見たという激レアミンダナオコノハズク(英名:Mindanao scops owl、学名:Otus mirus)

特徴的な顔だが数は多く観察できたメガネムクドリ(英名:Coleto、学名:Sarcops calvus)
シュバシサトウチョウ(英名:Philippine Hanging Parrot、学名:Loriculus philippensis)

など、出会う鳥の多くが固有種であり、その多様性には驚かされます。
これも、海洋島が集まって形成されたフィリピンならではの特徴であり、
隔離された環境の中で独自の進化を遂げた結果、多くの固有種が生まれています。
この地域は標高が高いため、ジャガイモの一大産地でもあります。
観察中、馬に大量のジャガイモを積み、出荷に向かう地元の方の姿がとても印象的でした。


その他にも、









(英名:Brown Shrike、
学名:Lanius cristatus)

(英名:Philippine Cuckoo-Dove、
学名:Macropygia tenuirostris)

(英名:White-eared Brown Dove、
学名:Phapitreron leucotis)

(英名:Crested Goshawk、
学名:Accipiter trivirgatus)
ミナミツミ(左)
(英名:Besra、学名:Accipiter virgatus)

(英名:Long-tailed Bush Warbler、
学名:Locustella caudata)

(英名:Buzzing Flowerpecker、
学名:Dicaeum hypoleucum)

(英名:Turquoise Flycatcher、
学名:Eumyias panayensis)

(英名:Long-tailed Shrike、
学名:Lanius schach)

(英名:Stripe-breasted Rhabdornis、
学名:Rhabdornis inornatus)

(英名:Barred Rail、
学名:Hypotaenidia torquata)

(英名:Pinsker’s Hawk-Eagle、
学名:Nisaetus pinskeri)

(英名:White bellied woodpecker、
学名:Dryocopus javensis)

(英名:Short-tailed Starling、
学名:Aplonis minor)

(英名:McGregor’s Cuckooshrike、
学名:Malindangia mcgregori)

(英名:Negros Leaf Warbler、
学名:Phylloscopus nigrorum)

(英名:Yellow-bellied Whistler、
学名:Pachycephala philippinensis)

(英名:Philippine Bulbul、
学名:Hypsipetes philippinus)

(英名:Ridgetop swiftlet、
学名:Collocalia isonota)

(英名:Brown-streaked Flycatcher、
学名:Muscicapa williamsoni)


(英名:Philippine Coucal、
学名:Centropus viridis)
今回、紹介した種の殆どが固有種という脅威の固有種率ですので、新しく出てくる鳥が全てライファー。ミンダナオ島は、バーダー、生き物好きにはたまりません。
次回に続く……
WildHerping &Co.では、今回のようなフィールドワークツアーを少人数限定で実施しています。
フィリピンワシをはじめとした固有種の観察や、夜間のハーピングなど、
通常の観光では体験できないフィールドワークをご案内しています。
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