
今回は、今年の11月に行ってまいりましたマダガスカルハーピングのエクスペディションレポートです。
今回のツアーでは、北東部の熱帯雨林を中心にハーピングを行い多様な種類を観察することができました。マダガスカルは、まだ未記載の種も多く学名などが決まっていない種も多くいます。あらかじめご了承いただければ幸いです。
では早速ご紹介いたします。
パンサーカメレオン(英名:Panther chameleon、学名:Furcifer pardalis)
マダガスカル北部で最も観察しやすい爬虫類の一つ。人家近く、市街地や二次林に広く分布し、逆に国立公園内ではなかなか見かけない種です。生息範囲も広いため、生息域の約50kmおきに個体群の色合いが変わるため観察が非常に面白い種です。


テイオウヘラオヤモリ(英名:Giant leaf-tailed gecko、学名:Uroplatus giganteus )
標高200mほどの地点で観察しました。大きさの似ているマダガスカルヘラオヤモリに比べ、太い木の幹にいることが多いのが特徴です。大雨の中であったので防水スマホでの撮影となりました。

ヤマビタイヘラオヤモリ(英名:Mossy leaf-tailed gecko、学名:Uroplatus sikorae)
当ブログでは度々紹介していますが、マダガスカルで最も広く観察しやすいヘラオヤモリです。竹林の中でにある木に張り付いていました。

マダガスカルヘラオヤモリ(英名:Common leaf-tailed gecko、学名:Uroplatus fimbriatus)
標高400mー650mほどの複数のポイントで観察しました。フリンジヘラオヤモリの名で知られる最も大きなヘラオヤモリです。竹林でも観察できました。


スジヘラオヤモリ(英名:Lined Leaf-tailed Gecko、学名:Uroplatus lineatus)
今回のメインターゲットでした。標高400m以上の竹林に生息するという情報を頼りに必死に探す予定が、初日にキャンプ場のすぐそばの竹林で観察することができました。4泊で2個体の観察に成功しましたが、ラッキーでした。ストライプのズボンを履いたかのような長い手足、模様、全体のフォルム、どれをとっても独特です。


エベノーヘラオヤモリ(英名:Ebenau’s leaf-tailed gecko、学名:Uroplatus ebenaui)
標高1250mほどの地点にて観察しました。大雨が降り、夕暮れ時の気温が12度程度と非常に寒い中活動している個体を見つけました。意外と寒い環境で活動しているのですね。尻尾が、エダハへラオヤモリよりも小さいのですが、虫食いの形など本種の方が大きくシックな印象です。


フィナリトラヘラオヤモリ(英名:Finaritra leaf-tailed gecko、学名:Uroplatus finaritra)
元々、エダハヘラオヤモリとされていましたが近年になり遺伝子解析によって別種に分かれたそう。この個体は、尻尾がなく現場ではエベノーと迷いましたが体が一回り大きく、目の下に独特の模様があり、肌の質感も異なるためフィナリトラヘラオヤモリと判断しました。次回は、尻尾のついた個体も観察したいです。

グラシリスササクレヤモリ(英名:Graceful Madagascar ground gecko、学名:Paroedura gracilis)
大きな目が非常に特徴的なヤモリ。英名は、Ground geckoで地上生ヤモリの意味だが実際には樹上1mほどまで活動するようです。目が大きいので、見た目が可愛くヤモリ好きなら虜になること間違いなしです。

ヒルヤモリの仲間も多く観察することができました。人家周辺や二次林にも多いヘリスジヒルヤモリ(英名:Striped day gecko、学名:Phelsuma lineata)は、尻尾の色合いが青色から緑色と変化に富んだ体色で見ていて飽きません。再生尾が3つに分かれている個体を見たときは驚きでした。


人家周辺にはいませんが、バニラ農園など大きめの林があればグランディスヒルヤモリ(英名:Malagasy giant day gecko、学名:Phelsuma grandis)も見つけやすいヒルヤモリです。大きい個体は30cmを超えますが、この地域では全長で20cmくらいの個体が多いようで地域によってサイズ感は異なります。


森林生のヒルヤモリには、Speckled day gecko (Phelsuma guttata)がいます。本種は、開けた場所には生息せず深い森の中でしか観察できない種です。数は少ないわけではありませんが、生息域は限られるのでいい出会いとなりました。

ブルーノーズカメレオン(英名:Blue-nosed chameleon、学名:Calumma nasutum)
数は少なくないものの、人間を見るとそっと木や茎の裏に回るので見つけるのがやや難しい。集団で歩いていると、一番後ろの人が見つけたりするのが面白いです。アンバーマウンテンで観察できる種とは別種ですが、英名は同じです。


Marojejy Side-striped Chameleon (Calumma marojezense)
ごく限られた雲霧林にのみ生息するカメレオン。緑色がかっこいい。

ハラオビカメレオン(英名:Perinet chameleon、学名:Calumma gastrotaenia)

Mossy pygmy leaf chameleon(学名:Brookesia vadoni)
個人的には、最も美しいブロケシアの仲間。ほとんどのブロケシアは、地上で落ち葉に擬態するため落ち葉いろである茶色っぽい色が多いのですが、ここでは豊富な降水量のおかげで岩肌・木肌には地衣類が多く、このようなコケに擬態した色合いに加えトゲトゲした体をしているそう。特にオスは黄色い頭が美しいです。標高の高いエリアにのみ分布します。


その他ブロケシアたち
条件が整ったポイントでは、落ち葉をめくるとブロケシア(ヒメカメレオン)の仲間が出てきます。1か所で、3種類観察することもありまるでブロケシアの天国でした。世界最小の爬虫類を含むグループで、ヒメカメレオンとも呼ばれますが、大きいものでは手のひらサイズのものもいるため全てが小さいわけではないのも面白いです。






ヘビの仲間
ハーピングといえば、ヘビの仲間も忘れてはいけません。全長1.5mほどの大きなマダガスカルオオブタバナヘビ(英名:Malagasy Giant Hognose Snake学名:Leioheterodon madagascariensis)は、バニラ農園の広がる場所で優雅に餌を探していたり、夜の観察では見事にカモフラージュし餌を待ち伏せするBrown brook snake(Pseudoxyrhopus microps)などの観察にも成功しました。マダガスカルらしい、カメレオンを捕食するヘビなどいつか観察したいものです。




アデガエルの仲間
合計2種類観察することができ、Guibé’s Mantella (Mantella nigricans) とセミドリアデガエル(英名:Green-backed mantella、学名:mantella laevigata)は、キャンプ近くなどでも鳴いている声がよく聞こえ数は相当な数が生息していると思われます。


その他カエル
カエルの仲間は、種類が非常に多く、未記載種なども多いため名前の記載が少ないですがご了承ください。
雨が多く降ったため、鳴く姿やMalagasy flying frogと呼ばれるトビガエルも観察でき充実した観察となりました。






以上、観察した爬虫類・両生類のご紹介でした。
そのほかの生き物たちは次回レポートでご紹介します!

