
マダガスカル全土に広く分布し、比較的観察しやすい鳥のひとつに「マダガスカルサンコウチョウ(英名:Malagasy paradise flycatcher、学名:Terpsiphone mutata)」がいます。


この鳥には少し不思議な特徴があり、尾が長いオスのうち、約5羽に1羽の割合で「白い個体」が存在します。
この白色のモルフ(形態)は遺伝的なもので、一生を通じて変わることはありません。特にキリンディやイファティーなどの乾燥した地域では、白い個体の割合が約4羽に1羽と、やや多く見られる印象があります。

その理由としては、熱帯雨林のように緑の多い環境では赤茶色の個体のほうが背景に溶け込みやすく、乾燥地域では白い羽のほうが目立ちにくいという説があります。ただし、はっきりとした理由はまだわかっておらず、地域ごとに異なるメスの好みによって、モルフの比率が変化している可能性も考えられています。
白と赤が混ざった珍しい個体も!
先日、北部のある森で観察中に、白と赤の羽色が混ざった個体に出会いました。
若鳥なのか、あるいは突然変異なのか判断できませんが、これまでに100羽以上見てきた中で、初めての出会いでした。
その地域ではこのタイプの個体がよく見られることもあるそうで、ガイドさんも「この森では観察しやすい」と教えてくれました。

餌のとり方にも注目
マダガスカルサンコウチョウは、長い尾羽をヒラヒラとさせながら飛び回り、昆虫をとらえる姿がとても印象的です。
また、マダガスカルにはキツツキの仲間が生息していないため、この鳥が太い木の幹にとまり、縦に動きながら餌を探す「キツツキのような行動」を見せることもあります。
ぜひ現地で観察してみてください!
とにかく、とても不思議で美しい鳥です。
マダガスカルに訪れる機会があれば、ぜひ森の中でこの鳥を探してみてください!
観察できるフィールドワークも開催中です!
マダガスカル バードウオッチングエクスペディション|独自の生態系で進化を遂げた鳥と生き物たち