今回は、インドネシアの人気観光地・バリ島で、スンダキングコブラ(英名:Sunda King cobra、学名:Ophiophagus bungarus) の観察に成功しました。
キングコブラといえば「世界最大の毒蛇」として知られていますが、ここバリ島にも生息しており、農村部では人々に恐れられる存在です。今回はスネークレスキューの方々に同行し、野生で生きるその姿を観察をしてまいりました。

通報から現地へ
2日前、農村部の裏庭にキングコブラが出現したとの通報がスネークレスキューに入りました。
私たちは、そのお宅を訪ねることになりました。
到着したのは、田んぼや牛の放牧場、ココナッツやカカオ、家畜の牛たちなどなど様々な農作物に囲まれたバリの典型的な農家。家から30mほど離れた竹やぶの下で、2日前にコブラを目撃したとのことです。

農村では裸足で作業する方も多く、落ち葉や大きなヤシの葉の下にコブラが潜んでいれば、うっかり踏んでしまう危険があります。まさに人とコブラが隣り合わせに暮らしているのです。
ついに現れたキングコブラ
現場を探し始めて数十分。ついに現れました――キングコブラ!
2日前に目撃された場所から、わずか50mほどしか移動していませんでした。

頭を高くもたげ、鋭い目でこちらを睨みつける姿は、まさに「キング」の名にふさわしい威厳。体を膨らませ「シューッ」と音を立てて威嚇する姿は圧巻です。
よく見ると、フードの一部に噛まれた痕のような傷もありました。幼いころに別のコブラと争ったのかもしれません。動くものに素早く反応する眼差しは、まさに頂点に立つ捕食者の風格でした。
バリ島は「ヘビの楽園」
実は、バリ島にはスンダキングコブラだけでなく、さまざまなヘビが生息しています。
例えば――
- ジャワコブラ(英名:Javan spitting cobra、学名:Naja sputatrix)
- アミメニシキヘビ(英名:Reticulated python、学名:Malayopython reticulatus)などなど
今回キングコブラを観察したご自宅の裏庭の反対側(表玄関側)にはドクフキコブラのロードキルがあったり、車ですぐの洞窟にはアミメニシキヘビがいたりと、まさにヘビの楽園です。ヘビを恐れる方にとっては大変な場所だとは思いますが、だからこそスネークレスキューの方々が大活躍されているのでしょう。

その後、慣れた手つきで薄い袋に入れスネークレスキューは完了いたしました。

レスキューとその後
その後は、ご依頼をいただいた方々はハチの巣にも悩まされているとのことで蜂の巣駆除も行いました。取れたって新鮮のハチミツがなんと巣6個分!大量です。美味しいバリコーヒーと共にいただき解散となりました。

まとめ
観光地として知られるバリ島ですが、そこには人々の暮らしと自然がせめぎ合う現実があります。
スンダキングコブラは村人にとって恐ろしい存在ですが、同時に生態系の大切な一員でもあります。スネークレスキューのような活動は、人と自然が共存するために欠かせないものです。
これからも「生き物と人間が共に生きられる環境」を守っていければと思います。
