前回に続き、西パプア バードウオッチングレポートです。今回は、マノクワリ(Manokuwari)に加え、車で3時間ほど移動したアルファック山(Arfak mountain)で観察した生き物たちのご紹介です。アルファック山は標高が高く、毎日の気温は15-20度ほどと、インドネシアらしくない冷涼な気候です。ダニが大量発生したベッド、冷たい水シャワー、いつまでも続く坂道、、、など観察は決して楽ではありませんでしたがアルファック山ならではの生き物たちは圧巻でした。

国内線が大幅に遅れたため、夕方の到着。早速、夜の観察に向かいました。
ポッサムの仲間(英名:Arfak Ringtail Possum、学名:Pseudocheirus schlegeli)は、長い巻き尾を持ち、樹上生活に適応したアルファック山に固有の有袋類で、非常に限られた地域にのみ生息する珍獣です。現地ガイドさんも夜はほとんど観察に出かけないのか、コウモリだ、カンガルーだなどそれぞれの意見を口にします、、、

クスクスの仲間(英名:Stein’s Cuscus、学名:Phalanger vestitus)は、ゆっくりな動きで観察する我々をゆっくり観察していました。可愛いらしい顔だけでなく、尻尾の先だけ毛がなくなっており、枝を掴んで移動するのに役立っていると思われます。

その後、雨も降り出したため次の日の早朝の観察に向かいます。アルファック山の観察は、ハイドと呼ばれる鳥たちがやってくる場所での待ち伏せが基本です。

最初に向かったのは、チャイロニワシドリ(英名:Vogelkop Bowerbird、学名:Amblyornis inornata)のハイドです。一見地味ですが、素晴らしいセンスの持ち主で、メスを魅了するため森の中から様々な色合いのものを集めて綺麗な庭を作るため、庭師(ニワシ)ドリと呼ばれます。


次に向かったのは、カンザシフウチョウ(英名:Western Parotia、学名:Parotia sefilata)です。アルファック山といえばこの鳥を想像される方も多いこの鳥は、我々の前で何度もバレリーナのような踊りを披露してくれ、一同メロメロです。



メスは、目の色が同じなのでなんとか見分けがつきましたが、オスとメスの違いすごいですね、、、
キンミノフウチョウ(英名:Magnificent Bird-of-paradise、学名:Diphyllodes magnificus)も外せません。生息域こそ広いこの鳥ですが、なかなか観察できないイメージです。ラジャアンパットに生息するアカミノフウチョウ(英名:Wilson’s Bird-of-paradise、学名:Cicinnurus respublica)にそっくりです。

また、キンミノフウチョウのディスプレイ場は、落ち葉などを綺麗に清掃するため雨上がりのこの日はミミズが発生しそれを食べにパプアヤイロチョウ(英名:Papuan Pitta、学名:Erythropitta macklotii)もやってきました。雨上がりで、体が濡れていますが、晴れるとふわふわしたまんまるの体になることでしょう。

また、近くにはミヤマズクヨタカ(英名:Mountain Owlet-nightjar、学名:Aegotheles albertisi)が休んでいました。フクロウのような見た目と休憩場所ですが、原始的なヨタカの仲間です。見た目がフクロウに近いため、ズクヨタカと呼ばれますがこの仲間は全てニューギニア周辺の固有種です。

カタカケフウチョウ(英名:Superb Bird-of-paradise、学名:Lophorina latipennis)もやってきました。胸毛?のような蛍光ブルーの飾りが、非常に特徴的でこんな姿でよく生息できるなと不思議でたまりません。また、口の中も美しい黄色でディスプレイの際は、この胸毛と口の中を必死に見せつけてメスにアピールするそうです。

オナガカマハシフウチョウ(英名:Black sicklebill、学名:Epimachus fastosus)のメスも観察できました。オスは、このような奇妙なディスプレイをすることで知られています。


キヅノフウチョウ(英名:Long-tailed Paradigalla、学名:Paradigalla carunculata)もやってきました。生息域がかなり限られ、アルファック山の超固有種です。最近、観察がかなり難しいそうで現地ガイドさんも興奮気味でした。

また、ロスチャイルドトリバネアゲハ(英名:Rothschild’s Birdwing、学名:Ornithoptera rothschildi)などの希少なチョウの仲間もお昼の休憩時にロッジにやってきました。

マミジロヤブヒタキ(英名:Ashy Robin、学名:Heteromyias albispecularis)も観察できました。派手な極楽鳥たちに混ざって目立ちませんが、可愛い鳥です。

写真は見づらいですがキバタン(英名:White Cockatoo、学名:Cacatua galerita)は、大きな声を上げながらアルファックの空を羽ばたきます。飛んでいる姿は圧倒されて写真撮るの忘れてました、、、

ニシキホウミツスイ(英名:Arfak Honeyeater、学名:Melipotes gymnops)も観察できました。名前の通り、ロッジ周辺の花を回り蜜を吸います。

また、マノクワリ(Manokwari)周辺でも終日バードウオッチングを行いました。早朝は、パプアにおけるキリスト教伝来の地マノシマム島(Mansinam Island)で探鳥です。

まず、はじめに現れたのはマングローブオオトカゲ(英名:Mangrove Monitor、学名:Varanus indicus)です。器用にヤシの木に登り日光浴をしていますが、実は泳ぎも得意で海水域でも泳ぎながら魚やカニなども捕食するためこの様に呼ばれます。

また、タイヨウチョウの仲間(英名:Sahul Sunbird、学名:Cinnyris frenatus)も観察できました。樹上でオスとメスが追いかけ合っています。名前の通り太陽の下で最も輝く鳥です。

なんとオオコウモリを飼育する地元の方にも遭遇。得意げに見せてくれました。

その他、ツバメ(英名:Barn Swallow、学名:Hirundo rustica)や、ヒジリショウビン(英名:Sacred Kingfisher、学名:Todiramphus sanctus)なども観察できました。


ミドリツヤトカゲ(英名:Emerald Tree Skink、学名:Lamprolepis smaragdina)、スキンクの仲間も観察し、島を後にしました。


午後は、マノクワリ郊外の森へ。マノクワリは太平洋戦争中、日本軍が駐屯し、戦闘が行われた地域のひとつです。現在もジャングルの中には当時をしのぶ石碑や、終戦後も16年間もの間日本兵が潜伏生活を送ったとされる洞窟などが残されています。


まずは、Silky Owl(英名:Silky Owl、学名:Taenaris catops)と呼ばれるフクロウのような目の模様を持つチョウの仲間です。

他にもバッタやトカゲなどカラフルな仲間たちが続きます。



オオハナインコ(英名:Eclectus Parrot、学名:Eclectus roratus)にも出会いました。インコでは珍しく、オスは緑、メスは赤と色合いが全く異なります。

オオグンカンドリ(英名:Great Frigatebird、学名:Fregata minor)。海辺を歩いている際に、ふと見上げるとグンカンドリでした。かなり遠くを飛んでいましたが、大きな体が美しいです。とても軽量で、滑空飛行が得意です。風を利用して長時間飛行し、滞空能力に優れている一方で、潜水や泳ぎは不得意で、水に浮くことすら苦手なため、飛びながら採餌する不思議な鳥です。

同じ場所では、シロガシラトビ(英名:Brahminy Kite、学名:Haliastur indus)も。魚が好きな鳥ですので、海辺でも多く観察できます。

また、クロタイヨウチョウ(英名:Black Sunbird、学名:Leptocoma sericea)も観察できました。朝と同じ地域ですが、違う種類のタイヨウチョウたちが観察できるのはカラフルで面白いです。生活スタイルなどハチドリにとても似ていますが、系統は全然違う平行進化の例ですね。

ムネアカハナドリ(英名:Olive-crowned Flowerpecker、学名:Dicaeum pectorale)です。嘴が短く、舌が筒状で先が房状になっているなど、花蜜食に適した形態をしています。

夕方は、ヤシオウム(英名:Palm Cockatoo、学名:Probosciger aterrimus)を探して海岸線を歩きます。今回は、出会うことができませんでしたが大好物の木の実をたくさん確認できましたので、また次回!頑張って探したいと思います。

以上、歴史の詰まった漁師の街マノクワリよりお送りいたしました!次回は、ソロン編です!お楽しみに!
