今回は、先日イランにてハーピングを行った際に観察できた哺乳類たちをご紹介します。
オオミミハリネズミ(英名:Long-eared Hedgehog/学名:Hemiechinus auritus)

ザグロス山脈にて、夜の観察中に発見しました。道路の真ん中にじっとしており、車が通ると道路沿いに避けたものの、我々のヘッドライトにびっくりしてその場で丸まってしまいました。道路からどかそうと触ってみましたが、その針は非常に鋭く、人間の手では太刀打ちできません。
現地では、ジャッカル、オオカミ、キツネ、フクロウなどの天敵から身を守るために、こうした鋭い針が発達しているそうです。
タビキヌゲネズミ(英名:Grey Dwarf Hamster/学名:Cricetulus migratorius)

キヌゲネズミ科は、ハムスターの総称であり、馴染み深いゴールデンハムスターやジャンガリアンハムスターもこの科に含まれます。
ヒョウモントカゲモドキを探している最中、どこからかゴソゴソと音が。音のする方を見ると、小さなハムスターが走って逃げていきました。急いで追いかけると、口に種をくわえていたのか、3秒ほど立ち止まって咀嚼し、その後また走っていきました。写真はその3秒の間に撮ったものです。
子供の頃、飼育してみたくてたまらなかったハムスターに、まさか野生で出会えるとは…感動でした。
オナガー(英名:Persian Wild Ass/学名:Equus hemionus onager)

アジアノロバの亜種であり、イラン固有の動物です。全世界で600頭ほどしか生息していないとされ、現地の方々も「出会えたらラッキー」と大興奮するほどの珍しい哺乳類です。
砂漠のど真ん中で、こんなに大きなロバがいることに驚きましたが、優雅に駆けていくその姿には神々しささえ感じました。
ちなみに、「ass(英語でお尻)」という単語に驚かれた方もいるかもしれませんが、これは英語で「ロバ」を意味する古い表現です。ラテン語の「asinus(アシヌス)」が語源で、現代英語では「donkey」が一般的に使われますが、学術的には今でも「wild ass(野生のロバ)」という表記が残っています。少し不思議に感じるかもしれませんが、きちんとした由緒ある言葉だそうです。
トビネズミ(英名:Jerboa/学名:Dipodidae sp.)

トルクメニスタントカゲモドキを探しているとき、道路脇でレースフラワーの種を啄むトビネズミを発見。カンガルーのような後ろ足で高く飛び跳ねながら、砂漠の中を器用に移動します。
大きな耳、毛の抜けた尻尾(先端以外)で体温調節を行い、長い尻尾でバランスを取りながら2本足で素早く動き回ります。大きな目と小さな前足がとても可愛らしく、観察した我々一同完全に心を奪われてしまいました。
ペルシャスナネズミ(英名:Persian Jird/学名:Meriones persicus)

爬虫類を探して岩の隙間を覗き込んでいたところ、つぶらな瞳と目が合いました。
ネズミの中では比較的長命で、飼育下では6〜7年生きるそうです。尻尾の先の毛色が変わっているのもチャームポイント。
夏の乾季で気温も高く、まったく雨も降らない中、どうやって体の水分を保っているのかと考えると、とても不思議でたまりません。
ヒトコブラクダ(英名:Dromedary camel、学名:Camelus dromedarius)

こちらは主に家畜ですが、イランの高温乾燥な環境に非常によく適応した動物です。そのほか、ヒツジやヤギなども家畜として一般的に飼われており、現代でも羊飼いとして暮らす人々が多く見られます。
おわりに
以上、イランで観察した野生動物(哺乳類)のご紹介でした。
砂漠ならではのユニークな生き物たちとの出会いは、どれも印象的です。野生の中でたくましく生きる彼らの姿から、自然の奥深さと面白さを改めて感じました。