オオサンショウウオ(英名:Japanese giant salamander、学名:Andrias japonicus)
夜の渓流で出会った“動く岩”――それは、世界最大級の両生類、オオサンショウウオでした。最大1.5メートルに達するその堂々たる姿は、水中に静かに身をひそめ、獲物を待ち構える様子と相まって、まるで自然界の忍者のような存在感を放っています。
この日本固有の生物は、現在、外来種との交雑や生息地の環境悪化により、絶滅の危機に瀕しています。本記事では、そのオオサンショウウオと出会うための観察ポイントやフィールドでの実体験をご紹介します。

生息地
オオサンショウウオは日本列島南西部、具体的には岐阜県以西の本州、四国、九州北部の一部など、限られた地域に生息しています。いずれも標高400〜600mの冷涼な清流域が中心で、日本固有の種として国の特別天然記念物にも指定されています。

探し方
意外にも、オオサンショウウオは比較的浅い水域で見つかることが多く、理由は明確です。肺呼吸を行う彼らは定期的に水面へ浮上する必要があり、また魚や甲殻類を一気に吸い込むように捕食するため、身体の動かしやすい浅瀬は好条件なのです。
見つけやすい場所は、全身を隠すことができる横穴や岩陰のあるエリア。特に、夜間は活動が活発になるため、ライトを頼りに水面や岸際の動きに注目しましょう。
出会いの瞬間
今回の探索では、昼夜を通してハーピングを行いましたが、実際に個体を確認できたのは夜間でした。水深約60cm、岩陰から大きく身を乗り出すようにして息継ぎする1匹の個体。その体長は約80cm。手先が脱皮途中であったことからも、健康的な個体であることが伺えました。

光を受けてゆっくりと動くその姿は、感動の一言で自然界でこの大きな両生類を観察した瞬間は一生の思い出です。
まとめ
大きな体に不釣り合いな小さな目、そして愛嬌すら感じる顔つき――オオサンショウウオは見れば見るほど魅力的な存在です。日本の清流にひっそりと生きるこの生きものと出会う体験は、きっと自然との距離を縮めてくれるはずです。
静かに、そして確かに失われつつあるこの存在に、ぜひ一度、実際に会いに行ってみてください。
