コロンビア〜エクアドルに広がるチョコ熱帯雨林。世界で2番目に降水量が多く、目立った乾季もないため一年を通して湿度が高く、生活に多くの水を必要とするカエルなどをはじめとする生物多様性の宝庫として知られています。
今回は、コロンビアのチョコ熱帯雨林にてハーピングをおこなってまいりましたので観察した生き物たちをご紹介します。

1、Oophaga solanensis
学名Oophaga solanensis、和名なし、英名koe-koe
オレンジと黒の毒々しい色合いが、ジャングルの林床で非常に目立つ種類。世界でもコロンビアの北西のごく一部のみに生息します。生息域の狭さから、絶滅が危惧されていますが、実際に生息地に訪れるとその数は意外と多く数匹の個体を観察できました。雨上がりのお昼によく鳴くため鳴き声を頼りに探すと2匹以上で並んで泣きかわしていることもありました。

2、Phyllobates aurotaenia

学名Phyllobates aurotaenia、和名ココエフキヤガエル、英名Kokoe Poison Frog
世界で3番目に強い毒を持つヤドクガエルの仲間。基本的には昼行性で警戒心が強い上に、動きが早いためしっかりと撮影するのは至難の技でした。緑色の体の淵の模様と、青い銀河を想像させる足の模様が非常に美しいカエルです。今回は、運よくオタマジャクシを運ぶお父さんにも出会うことができました。こちらもコロンビア固有種です。

3、Atelopus spurrelli

学名Atelopus spurrelli、和名なし、英名Condoto Stubfoot Toad
フキヤガマ属 (Atelopus)のカエルは、中南米に生息するヒキガエルの仲間です。標高が高めの小川などに生息し、どの種も非常に出会うのが難しいことで有名です。コロンビアのチョコ熱帯雨林には、Atelopus spurrelliという黄色と黒のコントラストが非常に美しい種が生息しており、さらに生息数も多いため正しい観察場所へ向かえば必ずと言って良いほど観察できました。昼も夜も活動しているようで、地上・樹上ともに活動する姿を観察できました。ヒキガエルの仲間とは思えない手足の長さと、コケの生えた葉の上での見事な美しさが印象的な種です。

4、Cruziohyla calcarifer

学名Cruziohyla calcarifer、和名トラフフリンジアマガエル、英名Splendid Leaf Frog
完全に樹上性のカエルで、普段はジャングルの樹冠で生活しているため普段の観察は非常に難しいです。しかし、日が暮れて直ぐの時間帯に雨が降ると鳴き出し普段より低い位置に来てくれるため今回は観察することができました。体を閉じると、全く目立ちませんが動くと横腹、手足の美しいオレンジ色が非常に目立ちます。手足も長く、いつまでも観察していられる動きも面白いカエルでした。個体によって背中の模様が違うようでとても興味深いです。

5、Agalychnis terranova

学名Agalychnis terranova、和名アガリクニス・テラノバ、英名Red-eyed tree frog
アカメアマガエル属(Agalychnis)のカエルは、中米に広く分布しそれぞれ好む生活環境が少しずつ違うため様々な種が存在しています。名前の通り、目の赤いものや目の白いものまでいるので、アカメアマガエルとは何なのか分からなくなりそうですが、共通して言えるのはそのかわいさです。大きな目を見開いて、次に飛び移る場所をゆっくりと見極めてから体制を整え、大きな体を使って見事にジャンプする姿は、アカメアマガエル属らしい美しさの象徴です。
6、Cochranella euknemos

学名Cochranella euknemos、和名なし、英名Jose Cochran frog
今回最も見たかったカエルの一つ。ガラスガエルの仲間で、ガラスのように透き通った体に黄色のスポットが入る美しすぎるカエルです。さらに、今回観察を行った地域周辺では黄色の色素が欠乏した個体が非常に多いため皆青っぽい体色をしており信じられない美しさでした。ガラスガエルの仲間は、皮膚が薄いため湿度の高いエリアでしか生きられません。なぜそのような進化を遂げたのか不思議でたまりません。夜のジャングルで青く輝く美しさ、一生の思い出です。

7、Hyalinobatrachium aeroguttatum

学名Hyalinobatrachium aeroguttatum、和名なし、英名Atrato Glass Frog
川沿いのエリアで観察したガラスガエルの仲間。条件が良かったのか、同じエリアではところどころで鳴き声が聞こえました。しかし、基本的には樹上高くで生活しているため見つけるのは至難の技でした。運よく、崖を登った場所から見下ろす形ではの裏にいる個体を発見しました。しばらく観察していると、なんと目の前で鳴いてくれました。また、本種の面白い習性としては卵を水場に迫り出した葉の裏に産みつけ雄が世話をするというものがあります。今回、沢を歩いていると運よく地上5mほどの場所に卵と卵を守るお父さんの姿も観察することができました。
鳴く姿の動画は下記のリンクよりご覧ください。
以上、ごく一部ですがコロンビアで観察したカエルたちのご紹介でした。実際には、最もっとたくさん観察できますので気になる方はぜひ実際にハーピングに出かけてみてください!