今回、パナマで観察したオウギタイランチョウ(英名: Tropical Royal Flycatcher、学名: Onychorhynchus coronatus)をご紹介します。この鳥の最大の特徴は、まるで王冠のような美しい飾り羽。普段はほとんど見ることができないこの冠を、今回なんと観察することに成功しました!
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オウギタイランチョウを探して
今回訪れたのは、パナマ東部の街。地元のガイドとともに向かったのは、市街地からわずか数十メートルほど外れた小川でした。オウギタイランチョウは川沿いの木々に生息し、体長は約20cm。同地域に生息するTody flycatcher(ハシナガタイランチョウ)の仲間と比べると比較的大きめの部類に入ります。
観察のため、私たちはサンダルを履いて川の中へ。姿を確認したポイントで待ち伏せをしながらの観察となりました。
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美しい飾り羽
オウギタイランチョウのオスは、鮮やかな赤色の冠を持ち、メスは黄色の冠を持っています。しかし、この冠は普段は見えず、求愛や威嚇などの特定の状況でのみ開かれます。
しばらく川沿いで観察していると、目の前の枝にオスがとまりました。じっと様子を見守っていると……突然、王冠が開いたのです!
燃えるような赤と青の美しい飾り羽が一瞬広がり、まるで別の生き物のような姿に変化。観察できたのは、夕方と翌日の午前中いっぱい待ち続け、わずか5秒ほどでしたが、緑色の森の中で真っ赤な飾り羽を広げるその光景は目を疑う美しさでした。
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オウギタイランチョウの生態と行動
この鳥は主に川沿いに巣を作り、1月中旬から2月上旬にかけて巣作りのピークを迎えます。興味深いことに、オスは実際に使う巣に加え、偽物の巣を2つ作る習性があります。これは卵やヒナを狙うヘビなどの捕食者から守るための戦略だそうです。
オスは完成した巣とともに、美しい王冠を広げてメスにアピール。メスが気に入ればカップル成立となり、繁殖へと進んでいきます。
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オウギタイランチョウの現状と保護
オウギタイランチョウは世界的にも非常に珍しい姿を持つ鳥でありながら、意外にも人里近くの環境にも適応しています。しかし、森林伐採による生息地の減少が進んでおり、一部の亜種は絶滅の危機に瀕しています。
今回の観察を通じて、この鳥の生態の奥深さ、そして自然の持つ神秘的な美しさを改めて実感しました。滅多に見られない冠が開いた瞬間に立ち会えたことは、私にとって一生の思い出となりました。
最後に
オウギタイランチョウを観察するには、時期や環境を理解し、適切な場所を訪れることが重要です。出会えたからといって、この飾り羽を見れるかどうかはわかりませんが、探さない限り見えないことは確実です。是非とも一生に一度の体験を求めて探しに行ってみてください!
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