今回は、奄美大島で爬虫類・両生類を中心に探してハーピングを行ってきました。奄美大島は、島全体に豊かな自然が残り独特の生態系を持つ島でした。早速ご紹介させていただきます。
夕方の観察
今回は、夕方に到着しましたので早速森に向かいます。
はじめに現れたのは、ガラスヒバア(英名:Ryukyu keelback、学名:Hebius pryeri)です。
水たまり周辺で大好物のカエルを探していたのでしょうか。基本的には夜見かけることが多いので貴重な出会いです。

また、水たまりには沢山のアマミシリケンイモリ(英名:Amami Sword-tail newt、学名:Cynops ensicauda ensicauda)。

季節がらか、イトトンボの仲間が沢山産卵に来ていました。

夜の観察。ナイトハーピングヘ!
その後、夕食を食べナイトツアーに出かけます。
はじめに現れたのはアマミヤマシギ(英名:Amami woodcock、学名:Scolopax mira)です。
アマミヤマシギは、一見ヤマシギ(英名:Eurasian woodcock,学名:Scolopax rusticola)に似ていますが、ヤマシギは渡り鳥で世界各地で観察できるのに対し、アマミヤマシギは留鳥。ここ近辺でしか観察できない超貴重種です。

また、奄美大島といえばアマミノクロウサギ(英名:Amami rabbit、学名:Pentalagus furnessi)も見どころです。
短い耳、驚くと発する声など原始的なウサギの特徴を持ち、一族一種だそうです。運が良かったのか、この日は10匹以上の個体を観察することができました。


次に出てきたのはアカマタ(英名:Ryukyu odd-tooth snake、学名:Lycodon semicarinatus)です。
南西諸島といえば、アカマタと言って良いほど安定して出てきてくれるヘビです。自分より少しでも小さければなんでも食べると言われ、カエル、ヘビ、ネズミなどに加え、ホンハブを丸呑みしている姿も確認されています。

さらに出てきたのはオットンガエル(英名:Otton frog、学名:Babina subaspera)です。奄美大島・加計呂麻島の固有種で、なんといっても特徴は前足の5本指。通常カエルの仲間は前足が4本しかないそうですが、確かに枝で失礼して確認してみると足は5本生えていました。この指は「拇指(ぼし)」と呼ばれ、中には鋭いトゲのような骨が隠されているそうです。下手に触ると刺されて流血してしまうこともあります。世界的にも珍しく、英語では“Flick knife frog”とも呼ばれるそうです。


次に現れたのはキンハブ(英名:Habu,学名:Protobothrops flavoviridis)です。

通常のハブと同じ種類ですが、黒色の色素が抜けたいわゆるハイポの個体。奄美大島の林床に絶妙に擬態しており、多く生き残っているそうです。この個体は体に何者かに噛まれた跡がありました。奄美大島では根絶が宣言されていますが、かつてハブ対策のために放されたフイリマングース(英名:Small Indian mongoose、学名:Herpestes auropunctatus)の影響は記憶に新しく、この噛み跡がそのものではないことを祈ります。

また、キンハブから20mほど進んだ所には巨大なホンハブ(英名:Habu pit viper、学名:Protobothrops flavoviridis)が!全長はおそらく2m程。間違いなく人生で見た中では最大でした。写真では分かりづらいですが、顔の大きさの迫力が全く違いました。動作は遅い印象でしたが、これに噛まれたら一大事。この大きさであればアマミノクロウサギなども捕食しているのではないでしょうか。

さらに、奄美大島固有種のアマミトゲネズミ(英名:Amami spiny rat、学名:Tokudaia osimensis)の観察にも成功しました。写真では分かりませんが、ウサギのように後ろ足を揃えてジャンプして移動します。

林内の溝では、日本一美しいカエルとも称されるアマミイシカワガエル(英名:Amami Ishikawa’s frog、学名:Odorrana splendida)を発見。大きい個体は13cmほどになりますが、この個体はまだ若く4cmほど。若い個体は発色がさらに美しく、落ち葉とのコントラストが最高でした。

その後、アマミハナサキガエル(英名:Amami tip-nosed frog、学名:Odorrana amamiensis)、群れるアマミシリケンイモリ、そしてクマネズミ(英名:Black rat、学名:Rattus rattus)などを観察しながら、早朝のフェリーで徳之島へ向かいました。


まとめ
今回は船が欠航した影響で滞在時間は1日もありませんでしたので、満足する結果とはいきませんでしたが、これも旅の醍醐味。またいつか戻ってきたいと思います。