世界におよそ200種以上存在する真猿類(しんえんるい)の中で、唯一夜行性のライフスタイルを持つ仲間が存在します。その名は「ヨザル(ナNight monkey)」。

ヨザルは中南米の熱帯雨林に生息しており、和名の通り夜に活動する猿です。夜行性に適応した大きな目を持ちながらも、他の猿と同様に発達した顔つきが特徴的で、独自の存在感を放っています。
またヨザルは、一夫一婦制の社会構造を持つことでも知られており、野生下では多くの個体が生涯を通してひとつのパートナーと共に過ごすことが確認されています。こうした行動は霊長類としては比較的珍しく、種の社会性や行動生態の研究対象としても注目されています。

さらに特筆すべきは、その育児行動です。哺乳類の中では例外的に、ヨザルの育児の大部分をオスが担うという点が興味深い点です。赤ん坊を日常的に運ぶのは父親であり、母親が抱くのは授乳時のみ。こうした育児分担は、ヨザルが属するヨザル属の重要な行動的特徴といえるでしょう。
とはいえ、夜間に静かに樹上を移動するため、その姿を捉えるのは容易ではありません。しかし、運良く出会えた時の感動は大きく、観察者にとって忘れがたい経験となることでしょう。
中南米の熱帯雨林を訪れる際は、このユニークな霊長類「ヨザル」にぜひご注目ください。
