今回は、コロンビアのチョコ熱帯雨林で出会った「世界最恐のクサリヘビ」**テルシオペロ(Terciopelo)**をご紹介します。
この熱帯雨林は、世界第2位の降水量を誇る、まさに“雨のジャングル”。そんな中で、“見たら石になる”と恐れられている、この毒ヘビと対面しました。

■ テルシオペロとは?
- 英名: Terciopelo
- 学名: Bothrops asper
- 分類: クサリヘビ科(Viperidae)
テルシオペロは、中南米に広く分布するクサリヘビの一種で、
毒の威力・量ともに圧倒的。噛まれると強力な出血毒により、患部が壊死し、命を落とすこともあるほどです。
その姿は美しくも、現地では「見た者を石にするヘビ」として語り継がれ、最も恐れられる存在の一つとされています。

■ 巧妙な擬態と、恐ろしい狩りの戦術
テルシオペロは、赤土や落ち葉が敷き詰められた地面に完璧に擬態します。
ハーピング中の我々ならまだしも、木材を採集にやってくる地元の方などは大きな木材を運びながら本種が獣道の傍にいても全く気づかないであろうかと思われます。

さらに、尻尾の先端が少し明るく色づいているのも特徴。
それをミミズのように動かして、カエルやネズミをおびき寄せ、近づいた獲物を一気に捕食する**「ルアーリング(Luring)」**という狩りも行うそうです。

■ 恐れられるがゆえに――減少する生息数
テルシオペロは、その危険性から見かけたら殺されてしまうことが多く、年々その個体数は減少傾向にあるといいます。
けれど、本来は自然のバランスの一部として、重要な役割を担う生き物です。
■ 人間と野生動物が共存する未来のために
恐れられる存在だからこそ、知ること・理解することが共存の第一歩だと思います。
僕たちは、こうした野生動物と人間が共に生きられる社会を目指して、エコツーリズムの推進にも力を入れています。
ぜひ皆さんも、現地の自然に触れ、直接観察してみてください。
