ジャングルに響く低く響く命の唸り声
中央アメリカや南アメリカの熱帯雨林を訪れると、森の奥から響く低くうなるような声に驚かされることがあります。この声の主は、ホエザルの仲間です。今回は、数多く生息するホエザルの仲間のうち、マントホエザル(英名:mantled howler、学名:Alouatta palliataを観察してきました。その名の通り、黒く長い毛がマントのように覆い、威厳に満ちた姿をしています。本記事では、マントホエザルの生態や特徴、そして実際に観察した体験についてご紹介します。
マントホエザルとは?
マントホエザルはホエザル属(Alouatta)に分類される中型の霊長類で、主にメキシコ南部からエクアドルにかけての熱帯雨林に生息しています。彼らの最大の特徴は、発達した喉の構造によって発する低く響く鳴き声です。この鳴き声は5km以上先まで届くことがあり、群れのコミュニケーションや縄張りの主張に使用されます。
体の特徴
- 体長:オスで約50~70cm、メスで約40~60cm。
- 尾長:約50~75cmで、木に巻き付けて体を支えることが可能。
- 体重:オスは約6~9kg、メスは4~6kg。
- 毛色:黒または暗褐色で、特にオスは濃い毛色を持つことが多い。
行動と生態
鳴き声によるコミュニケーション
マントホエザルの鳴き声は、群れの間でのコミュニケーションに重要な役割を果たします。朝や夕方には特に活発に鳴き声を発し、自らの縄張りを示すほか、他の群れとの距離を保つためにも利用されます。
食性
彼らは主に葉を食べるフォリボア(葉食性動物)で、特に若葉や果実、花を好みます。消化を助けるための大きな盲腸を持ち、繊維質の多い葉でも効率的に栄養を吸収することができます。
社会構造
群れは通常5~15頭の個体で構成され、1頭の支配的なオスを中心にメスや子どもたちが暮らしています。オスは成熟すると群れを離れ、新たな群れを作ることもあります。
ジャングルでの出会い
熱帯雨林を訪れ、マントホエザルの咆哮を耳にしたときの興奮は忘れられません。木々の間に隠れるように暮らす彼らですが、その鳴き声のおかげである程度の居場所を特定することができますが出会うのは簡単ではありません。ある夕方、パナマでバードウオッチングをしていた際にジャングルのトレイルを歩いていると、木の上から枝が折れる音が聞こえてきました。木の上を注意深く観察すると、マントホエザルの姿を発見。しばらく観察していると、向こうもこちらをチラチラと見ながらトレイルの上の木を優雅に渡ってジャングルの中へ消えていきました。
まとめ
マントホエザルは、その特徴的な声と美しい見た目持つ、熱帯雨林の象徴的な存在です。その鳴き声を実際にジャングルの中で聞くと、はるばるこんな生き物がいる地域までやってきたのかとワクワクします。是非とも皆さんも中南米のジャングルを訪れる際は探してみてください。
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