グアテマラの雲霧林で最も小さな鳥「グアテマラコアカヒゲハチドリ、(Wine-throated Hummingbird、Selasphorus ellioti)」を観察してきました。この美しいハチドリは、その鮮やかなピンク色の髭で知られ、繁殖期にはメスのみならず人間をも魅了するディスプレイを行います。この記事では、グアテマラコアカヒゲハチドリの特徴や生息地、繁殖行動など、魅力的な情報をご紹介します。

グアテマラコアカヒゲハチドリの特徴
1. 美しいピンク色の髭
グアテマラコアカヒゲハチドリの特徴的な髭は、「構造色」と呼ばれる現象によって色が変わります。光の角度によって、鮮やかなピンク色が輝き、時には赤紫色に見えることもあります。この髭の色合いは、同種のハチドリとのコミュニケーション手段として重要です。
2. 生息場所と分布
このハチドリは、グアテマラ、メキシコ、ホンジュラスとその周辺国の高地にのみ生息しています。標高1,500メートルから3,500メートルの間に分布し、湿った松・オーク林や常緑樹林に生息しています。そのため、非常に限られた地域でしか観察できません。
3. レッキング(集団繁殖地)でのディスプレイ
グアテマラコアカヒゲハチドリは、繁殖期に「レッキング」と呼ばれる集団繁殖地に集まり、オスが美しいディスプレイを行います。太陽の下でそのピンク色の髭を輝かせ、メスにアピールします。標高の高い場所で行われるこのディスプレイは、非常に過酷な条件の中で行われるため、命懸けのアピールと言われています。

グアテマラコアカヒゲハチドリの生態
食事と食べ物
グアテマラコアカヒゲハチドリは、さまざまな花の蜜を主食としており、特に低〜中層の植物に集まります。小さな体ながら、空中でホバリングして花の蜜を吸う姿はとても印象的です。また他のハチドリ同様、昆虫を食べることもあります。
繁殖行動とディスプレイ
オスは、レッキング中に他のオスと競いながらメスにアピールします。巣作りの詳細はわかっていませんが、繁殖期は8月から2月にかけて行われるとされています。オスが行うディスプレイは、強い日差しの中の非常に激しい運動です。まさに命懸けのアピールと言えるでしょう。

グアテマラコアカヒゲハチドリの保護状況
グアテマラコアカヒゲハチドリは、IUCNによって「Least consern」として評価されています。しかし、環境破壊や生息地の喪失により、グアテマラの一部では減少傾向にあります。特に農業や放牧による高地の森林伐採が問題視されています。
まとめ
グアテマラコアカヒゲハチドリは、地球上でも限られた地域にしか生息していない貴重な鳥です。その美しいディスプレイとユニークな生態は、バードウォッチャーにとって夢のような観察対象です。グアテマラを訪れる際には、この美しいハチドリを是非探してみてください。

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