野生のアブロニアを探してみた|メキシコハーピング

世界一美しいトカゲを探して—メキシコで野生のアブロニア観察記

メキシコに生息する野生のアブロニア・ブラミニア(Abronia braminea)を観察するために、標高2300mの山間部を訪れました。このトカゲは「世界一美しいウロコを持つ」と言われるほど魅力的で、その美しさに一目惚れしてしまうほどです。今回は、現地で観察した意外な生態や環境についてご紹介します。アブロニアを探してみたい方や飼育環境の参考にしたい方は、ぜひ読んでみてください!

※観察のために今回紹介している敷地に立ち入ることや、生き物に触る場合は特別な許可の取得が必要です。サポートが必要な方はお問い合わせください。

ブロメリアの花に佇む 野生のアブロニア・ブラミニア(Abronia braminea

生息地の特徴

アブロニア・ブラミニアが見られるのは標高1500m〜2500mの高地と言われています。今回訪れた場所は標高2300mを超える地域で、冬季ということもありましたが、最低気温は7℃まで下がることがありましたが、アブロニアは問題なく活動していました。暑いのは苦手というのが定説ですが、むしろかなり寒いところにいました。

iPhoneの天気予報

また、この地域は湿度が非常に高く、滞在中の2日間とも朝は濃い霧に包まれていました。特に午前中は霧が深く、車の運転さえ困難な状況でした。生息地は主に広葉樹が生い茂り、樹木にはコケやブロメリアといった着生植物がびっしりと覆っていました。この環境は高い湿度を保つだけでなく、ブロメリアに溜まった水がアブロニアにとって水飲み場やエサ場となっているようです。

宿泊させていただいた家の前は濃い霧

意外だったのは、アブロニアが活動している場所です。「樹上で暮らすトカゲ」というイメージが強かったのですが、今回は目線の高さや地面近くで見つけることができました。ただし、地元の方によると種類によっては高い木の上でしか見られない個体もいるそうです。アブロニアの好む高さは種によって異なるようです。

活動時間帯

アブロニアは「薄明薄暮性」、つまり朝と夕方に活動するトカゲとされています。しかし、現地での観察から、活動時間は季節によって変わることが分かりました。標高の高い地域では、日中と夜の気温差が大きいため、活動する気温(およそ20℃)になる時間帯が異なります。

今回の観察時期である冬は、霧が晴れた昼過ぎが最も活動的でした。実際に朝や夕方も探してみましたが、その時間帯には全く姿を見ることができませんでした。一方、夏の暖かい季節であれば、朝や夕方が最適な時間帯になるそうです。

尻尾のない個体も観察できました

地元でのアブロニアの扱い

地元の方々はアブロニアを「スコーピオン(サソリ)」と呼んでいます。これは、捕まえるとアブロニアが強力な顎で噛むためです。このことから、「毒がある危険な生物」とみなされ、駆除されることも少なくありません。美しい姿を持つ反面、地元では恐れられているというのが現状です。

噛まれると何故かハート型がつきました♡

まとめ

アブロニア・ブラミニアは、その美しさだけでなく、生息環境や生態の奥深さでも多くの魅力を持つトカゲです。現地での観察を通して、彼らがいかに独自の環境に適応しているかを間近に感じることができました。

メキシコを訪れる機会があれば、ぜひアブロニアを探してみてください。その際は、彼らの貴重な生息地を尊重しながら観察を楽しんでくださいね。そして、この魅力的なトカゲが現地で正しく理解され、保護される日が来ることを願っています。

ブロメリアの隙間に隠れるアブロニア

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