ベトナムハーピング:アカクビヤマカガシの不思議な毒

アカクビヤマカガシ(英名: Red-necked keelback、学名:Rhabdophis subminiatus

ベトナムでのハーピングでは様々な生き物との出会いが期待できます。中でもアカクビヤマカガシ(英名: Red-necked keelback、学名:Rhabdophis subminiatus)はその美しさとユニークな毒を持つことで地元民には有名です。この美しいヘビは、赤い首元の模様が特徴的で、池や湿地に生息しています。しかし、その美しさとは裏腹に実はこのヘビ、「毒:Poison」と「毒液:Venom」の両方を持つ非常に特殊なヘビなのです。

「毒:Poison」と「毒液:Venom」の違いについては、こちらの記事をご覧ください。

PoisonとVenomの違い:ハーピング基礎知識

アカクビヤマカガシの特徴

アカクビヤマカガシは、なんとこの両方を持つ生物です。後牙類であるこのヘビは、特別な毒腺を通じて、噛みつくことで毒液(Venom)を注入することができます。この毒液には、血液凝固を妨げる成分が含まれており、場合によっては致命的な症状を引き起こすことがあります。基本的には、カエルなどを捕食する際に獲物が抵抗して自分が傷つけられないようにするために使われる毒だと言われており、一般的に毒ヘビといえばこちらの毒を指します。

一方で、このヘビは体内に別の毒素をも持ち、その毒素は外部から触れたり、捕食者に食べられたりすることで効果を発揮します。具体的には、アカクビヤマカガシは、捕食した毒のあるカエルや他の獲物から毒素を吸収し、それを体内で保管します。この毒(Poison)は、首の後ろにある器官に溜め込まれており、攻撃される際に捕食者を撃退するための防御機構として働きます。日本に生息するヤマカガシも基本的には同じですが、ベトナムには日本に比べると強力な毒液(Poison)を持つカエルなどが多く生息しているためこちらの毒が非常に強いそうです。

このように、アカクビヤマカガシは「毒性」と「毒液」の両方を持ち、どちらも毒性が強いため、このヘビを間違えて触ってしまい病院に運ばれてもお医者さんがどの毒に対して治療をしたらいいか分からず、大変困ってしまうのだと地元の方からお話を伺いました。

首元にデュベルノア腺があり、毒を保有します

アカクビヤマカガシの探し方

アジア諸国に広く生息する種ですので、生息地にさえ向かえば観察は難しくありません。バングラデシュ、インドネシア(スマトラ、ボルネオ、ジャワ、スラウェシ)、タイ、ベトナム、カンボジア、ラオス、ミャンマー、西マレーシア、ブータン、ネパール、インド(トリプラ、アッサム、メーガーラヤ、西ベンガル、シッキム、アルナーチャル・プラデーシュ、ミゾラム、ナガランド)、中国(雲南、広西、広東、福建、香港、海南)に分布しています。このヘビは通常水辺に生息しており、湿った草地や湿地、沼地、稲田、池や川の近くに見られますので、上記の場所を訪れた際は是非探してみてください。文献などをみると昼行性と書いてありましたが、私は合計3個体観察し全て夜中の観察でした。時期にもよるのかも知れませんが参考になれば幸いです。

美しいヘビです

その他ハーピング情報

基本的には日本のヤマカガシ(英名:Tiger keelback、学名:Rhabdophis tigrinus)と同じように探せば良いのですが、個人的には腰の位置より低い低木や草野上で餌を待ち伏せしている姿をよく見ます。また、写真の個体は落ち着いていましたが近づきすぎると体を平たくし威嚇することもあるようです。

雨上がり直後だったので水滴が綺麗です。

まとめ

アカクビヤマカガシ(英名: Red-necked keelback、学名:Rhabdophis subminiatus)は、アジア各地に生息する比較的観察しやすいヘビですが、その美しさは何度見ても色褪せません。特に雨上がりの輝きは暗闇では神々しくさえ見えます。皆さんもぜひ探してみてください!

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